移転前に確認すべき10項目
「WordPressを別のサーバーへ引っ越したいけれど、記事が消えたり、メールが止まったりしないか心配」。そんな方に向けて、移転前の準備から切り替え後の確認までを順番に整理しました。
はまちゃんねるでは、エックスサーバーとAFFINGER7 EXを使ってWordPressサイトを運営しています。普段のPHP設定・WAF・バックアップの管理で大切にしている「公開中のサイトを止めないための確認」という視点も交え、移転の手順をご紹介します。
エックスサーバーには、他社サーバーで稼働しているWordPressを移す「WordPress簡単移行」があります。移行元サイトのURLとWordPressのログイン情報などを入力して進められますが、サイトの設定によっては使えない場合があり、移行後の動作確認も欠かせません。
一般的なWordPressサイトなら「WordPress簡単移行」を第一候補に。作業前にバックアップとメール・DNSの確認を済ませ、移行先で正常表示を確かめてからネームサーバーを切り替えましょう。
.htaccessなどの独自設定は引き継がれないバックアップを取る
切替前に検証
メール・SSLまで点検
エックスサーバーへのWordPress移行方法は3つ
大きく分けると、エックスサーバーへのWordPress移行には3つの方法があります。移転元の構成が標準的なら、サーバーパネルから操作できる簡単移行を検討しましょう。
| 方法 | 向いているサイト | 注意点 |
|---|---|---|
| WordPress簡単移行 | 通常のWordPressブログ・コーポレートサイト | 対象外の構成や移らないファイルがある |
| 手動移行 | 独自構造、対象外環境、細かく制御したいサイト | ファイル・DB・URL・設定を自分で扱う技術が必要 |
| サーバー移転代行 | 業務サイトなど、専門家に移行作業を依頼したい場合 | 対応範囲・料金・メール移行の有無を確認する |
WordPressを新しく作る人向け。既存の記事・設定を引っ越すための機能ではありません。
すでに動いているWordPressのデータを、新しいサーバーへ移す機能です。
WordPressを新しく開く方向けの「クイックスタート」と混同しないようにしましょう。新規開設の手順を知りたい場合は、私のエックスサーバーのクイックスタート解説をご覧ください。
移転前に確認すべき10項目【チェックリスト】
移転で起きやすいトラブルの多くは、作業開始前の確認で減らせます。以下の10項目をチェックしてから取り掛かりましょう。
WordPress・PHP、データベース、特殊構成を先に確認。
バックアップ、ドメイン、メール、テーマ、独自ファイルを点検。
移行用のアクセスを用意し、完了後に制限を戻す。
更新差分を防ぎ、旧サーバーを残して切り替える。
WordPress・PHPのバージョン
簡単移行には利用条件があります。公式マニュアル掲載の対象はWordPress 4.2〜7.1、PHP 7.2以上です。移行後にPHPを変更する場合はテーマ・プラグインの対応も合わせて確認しましょう。
確認すること:管理画面の「サイトヘルス」、サーバーのPHP設定、公式の最新動作要件
マルチサイトやデータベースの容量
WordPressマルチサイト、データベース容量2GB超、WordPress.comなどは簡単移行の対象外として案内されています。大容量サイトは別方式を検討します。
確認すること:単一サイトか、DB容量、画像・バックアップファイルを含む保存容量
記事・画像・データベースのバックアップ
自動移行が利用できても独立したバックアップは必要です。ファイルとDBを両方保存し、復元方法も把握しておきましょう。バックアップだけで安心せず、取得したデータを開けるかも点検します。
確認すること:WordPressファイル一式、DBのエクスポート、復元に必要な情報
独自ドメインの管理先とDNS設定
ドメインをどこで管理しているか、現在のネームサーバーとA・MX・TXTレコードを控えます。サーバー移転とドメイン移管は別作業です。
確認すること:ドメインの管理会社、ネームサーバー、現行のDNSレコード一覧
メールアドレスと問い合わせフォーム
同じドメインでメールを使っている場合、WordPressだけ移してもメールは自動的に引き継がれません。フォームの送信先・SMTP設定も再確認します。
確認すること:利用中のメールアカウント、MX・SPF・DKIM・DMARC、フォームの送受信
テーマ・プラグイン・ライセンス
テーマの有効化、追加CSS、キャッシュ・セキュリティ・バックアップ系プラグインの設定を確認しましょう。有料テーマや外部サービスの認証は再設定が必要になる場合があります。
確認すること:テーマ名・バージョン、必須プラグイン、ライセンス、独自CSS・JS
wp-content外のファイルと.htaccess
簡単移行では.htaccessやwp-content外に置いた独自ファイルは引き継がれません。リダイレクトやアクセス制御も移転先で再設定する必要があります。
確認すること:独自ディレクトリ、.htaccess、リダイレクト、認証・アクセス制御の設定
移転元のログイン制限と管理者権限
移行には移行元のWordPress管理者情報が必要です。Basic認証やロボット認証、ログイン制限があるとエラーになる場合があります。変更する際は移行後に安全な設定へ戻します。
確認すること:管理者のログイン、Basic認証、WAF・ログイン制限、必要な権限
更新が多いデータと切替タイミング
コメント、問い合わせ、注文、会員登録などは移行作業の最中にも増えることがあります。コピー後の差分が出ないよう、更新停止時間を決めておきましょう。
確認すること:最終データ同期方法、更新停止・メンテナンス時間、運営者への連絡
移転先の表示確認・旧契約の終了日
新サーバーで公開前にテストできる方法と、旧サーバーの契約期限を確認しておきます。切替後もしばらく併用できるよう、余裕をもった日程にします。
確認すること:移転先のドメイン設定・SSL、hosts確認方法、旧サーバーの契約期限
特に優先したいのは「バックアップ」「メール」「DNS」です。 ブログなら表示崩れ、事業サイトならメール不達や問い合わせの取りこぼしが実害につながりやすいため、公開前の確認を省かないようにしましょう。
移行条件・移行対象外のファイル:エックスサーバー公式マニュアル
WordPress簡単移行で引き継がれるデータと注意点
「移行成功」と表示されても、元サイトの全設定がそのまま複製されるわけではありません。データの扱いを整理しておきましょう。
記事・固定ページ・各種設定などのデータベース/画像・テーマ・プラグインなどのwp-content内データ。
.htaccess/バックアップ用プラグインが作成したデータ/wp-content外の独自ファイル/一部のカスタマイズ。
メールやDNSはWordPressのデータとは別
メールアカウント・過去の受信メール、MXレコードなどのDNS設定は、WordPressの記事データとは別に扱います。メールをGoogle WorkspaceやMicrosoft 365で使っている場合も、切り替え時に必要なレコードが残っているか確認してください。
独自テーマのカスタマイズを使っている場合
テーマ内ファイルやデータベースの設定が移っていても、PHPバージョンやサーバー固有の挙動で表示が変わる場合があります。独自CSS、子テーマ、広告コード、キャッシュ・WAF設定は新サーバー側で必ず確認しましょう。
WordPress簡単移行の手順|申し込み後から公開まで
チェック項目を確認できたら、エックスサーバー側で移転作業を始めます。サーバーパネルは新旧2種類の画面があり、メニュー名や順番が少し異なることがあります。
STEP 1|移行先のドメインを追加する
エックスサーバーを契約したら、サーバーパネルの「ドメイン設定」で移転に使う独自ドメインを追加します。この時点ではネームサーバーを切り替えません。
STEP 2|「WordPress簡単移行」を開く
サーバーパネルで「WordPress簡単移行」を選び、移行先ドメインを指定して「WordPressを移行」に進みます。
STEP 3|移行元URLとWordPressログイン情報を入力
移行元のURL、WordPress管理者のユーザー名・パスワード、移行先URLを入力します。「http」と「https」、サブディレクトリの指定を間違えないようにしましょう。エックスサーバーのアカウント情報ではなく、移行元WordPressの管理者アカウントを使います。
STEP 4|移行処理の完了を待ち、結果を確認
移行が始まると進行状況が表示されます。処理中はキャンセルできません。完了表示のほか、移行先の管理画面にログインできるかも確認してください。
STEP 5|ネームサーバー変更前に動作テスト
公式が案内するhostsファイルの編集方法を使えば、DNS切替前にご自身のPCだけで移行先サーバーのWordPressを表示できます。トップページだけでなく、投稿・画像・フォームも検証しましょう。
STEP 6|ネームサーバーを切り替えて再点検
新サーバー側の準備ができてから、ドメイン管理画面でネームサーバーを変更します。サイト・SSL・メールを確認し、問題がなければ移転完了です。
作業順序に注意:エックスサーバー公式も「ネームサーバーは移行完了後に変更する」と案内しています。先に変更すると、移行機能のエラーや一時的な表示停止につながる場合があります。
操作画面の説明:公式「WordPress簡単移行」 / 切替前の動作確認
移転の準備ができたら、まず契約内容を確認
エックスサーバーには、既存WordPressを引っ越すための簡単移行機能があります。事前に対応条件・契約期間・独自ドメインの扱いを確認して申し込みましょう。
契約期間・キャンペーン・申込条件は、申込画面の最新表示を確認してください。
移転で失敗しやすいネームサーバー・SSL・メールの設定
サイトのデータをコピーしただけでは、訪問者がアクセスする先はまだ旧サーバーのままです。ネームサーバーやDNSを切り替える工程で、Webサイト・SSL・メールの設定を揃えます。
移行先はhostsで検証。公開サイトは従来どおり稼働。
DNSの反映後、順次エックスサーバーにアクセスされる。
ネームサーバー設定を変更する場合
エックスサーバーの一般的なネームサーバーは ns1.xserver.jp〜ns5.xserver.jp です。ただしDNS管理を外部サービスに残す構成では、ネームサーバー全体を変えずに必要なDNSレコードを切り替える方法もあります。現在の構成を理解したうえで作業してください。
SSL証明書を確認する
URLが「https」で始まるサイトでは、移転先でSSLが有効になっていることを確認します。エックスサーバーにはDNS切替前の無料独自SSL設定方法も用意されています。移行中にSSL未発行のエラーが出た場合は、公式手順に沿って個別に設定します。
メールは「切替前に」準備する
ドメインと同じメールアドレス(例:info@example.com)を使っているなら、メールサーバーの移転先を決めておきましょう。エックスサーバーへ移す場合はメールアカウント作成、外部メールを維持する場合はMX・SPF・DKIM・DMARCなどのDNSレコードを確認します。WordPress簡単移行だけで過去の受信メールまで移るわけではありません。
独自メールを使う事業サイトの注意:ネームサーバーを変更するとメール関連のDNSレコードも変わり得ます。Webサイトだけ先に正常表示されても、問い合わせメールが届かない事態は避けたいところです。
参考:SSL設定 / DNSレコードの編集 / サーバー移転FAQ
移行後に確認すること|表示・メール・広告・WordPress管理
データ移行の完了画面だけでは、運営上の問題までは分かりません。切り替え後は、読者と運営者の両方の操作を試しましょう。
PC・スマホでデザインが崩れていないか。
記事URL、内部リンク、リダイレクトを点検。
フォーム送信・通知メールの着信。
独自ドメインメールの送信と受信。
httpsの鍵マーク、管理画面の認証。
カスタムHTML、目次、広告の表示。
GA4、Search Console等の稼働。
記事更新、保存、バックアップ動作。
WordPressの管理画面も確認する
投稿の保存、画像のアップロード、プラグインの更新画面、予約投稿など、運営でよく使う機能が動くか確認します。管理画面が開くだけでは、公開サイトが正常とは言えません。
404エラーが出たらパーマリンク設定
トップページは見えるのに記事だけ404になる場合は、WordPress管理画面の「設定」→「パーマリンク」で設定を変えずに「変更を保存」して再確認します。これはエックスサーバー公式にも掲載されている対処法です。
はまちゃんねるのようにAFFINGER7 EXや独自HTML/CSSを使っている場合、テーマ側の目次・装飾、フォーム、広告リンク、キャッシュ、WAFまで確認すると、公開後のトラブルを防ぎやすくなります。
WordPress簡単移行でエラーが出た場合の対処法
簡単移行が止まったときは、無闇に設定を変更する前にエラーメッセージを確認しましょう。原因別に対処が変わります。
| 症状 | よくある原因 | 最初の確認 |
|---|---|---|
| ログインエラー | 管理者情報・Basic認証・ロボット認証など | 管理画面へ直接ログインできるか |
| プラグイン有効化エラー | 権限・WordPress側の制限 | 管理者権限とセキュリティ設定 |
| タイムアウト | 通信・wp-contentが大きい | 時間を置く、不要なバックアップデータを整理 |
| DBバックアップ失敗 | 空き容量不足、DB側の問題 | 移行元の空き容量・DB状況 |
| SSL未発行 | 認証・証明書設定の問題 | 公式マニュアルに沿ってSSLを設定 |
| 記事URLが404 | パーマリンク・リダイレクトの問題 | パーマリンク設定の再保存 |
アクセス制限を確認
空き容量を確認
ログを確認
公式の移行機能で対応できない場合は、手動移行か移転代行を検討します。独自機能の多いサイトや、営業時間中にメールを止められないサイトは、無理に一人で進めない選択も合理的です。
SEOへの影響を抑えるには?広告リンクとURLの確認も重要
ドメイン名と記事URLを変えずに移転するなら、通常は既存の記事URLを維持できます。ただしサーバー移転だけでSEO順位が上がるわけではなく、表示エラーやURL変更が起きると影響が出る可能性があります。
URL・リダイレクト・インデックス設定を維持する
旧サイトと新サイトでパーマリンク、canonical、robots設定、XMLサイトマップのURLを比較します。ドメインを変える場合は、旧URLから新URLへ適切な301リダイレクトを設定し、検索エンジン向けの移転対応も別途必要です。
収益記事の広告リンク・計測を確認する
広告のHTML・JavaScriptが引き継がれても、表示やクリック計測が正常とは限りません。もしもかんたんリンク、A8.netなどの広告導線、GA4やSearch Console、成果計測タグを確認しましょう。テスト時は広告の誤クリックや不正な自己購入にならないよう注意します。
旧サーバーをすぐ止めない
DNS切替が反映されるまでは、一部の閲覧者が旧サーバーへアクセスする場合があります。問い合わせ・コメント・購入など更新データが発生するサイトでは、差分の扱いを決めておくことが重要です。
私はWordPressの記事制作とWeb制作を行う立場として、移転後の「表示できる」だけではなく、問い合わせ・広告・更新まで一通り動くことを重視しています。
WordPress移転の費用は?契約時に確認したいこと
移転費用を考えるときは、サーバー代と移転作業にかかる費用を分けましょう。WordPress簡単移行が使える場合、自分で操作を進められます。一方、移転代行や複雑なサイトの手動移行を依頼する場合は追加費用が発生することがあります。
| 費用項目 | 考え方 |
|---|---|
| 新サーバー契約 | 選ぶプラン・契約月数の料金を支払う。初回と更新時を分けて比較 |
| WordPress簡単移行 | サーバーパネルの機能を利用。追加作業は自身で確認 |
| 代行サービス | 対応内容・サイト数に応じて公式の現行料金を確認 |
| 独自ドメイン | 今のドメインを維持する場合、移転だけで新規取得は必須ではない |
| 旧サーバー | 切替が安定するまで契約を重ねる場合の費用も見込む |
エックスサーバーの料金は契約期間によって変わります。私が公開している12・24・36か月の支払総額比較と、独自ドメイン永久無料特典の条件も合わせてご確認ください。
移転するために新しいドメインを取得する必要はありません。 これまでのURLを使い続けるなら、ドメインは維持したままWebサイトの収容先だけ変更できます。
契約前に、移行条件と現在の料金を確認
独自ドメインを維持したまま乗り換えたい方は、エックスサーバーの対応プラン・契約月数・移行機能を公式サイトで確認できます。
契約期間・キャンペーン・申込条件は、申込画面の最新表示を確認してください。
エックスサーバーへのWordPress移行でよくある質問
移転前によくある疑問をまとめました。
一般的な記事・画像・テーマ・プラグイン・DB設定は主な移行対象ですが、.htaccessやwp-content外のファイル、一部の独自設定は対象外です。移転後の点検が必要です。
変えずに移転できます。ドメインを管理する会社をそのままに、サーバーの参照先だけ変更することも可能です。
できません。クイックスタートは新しいWordPressサイトを開設する機能です。既存サイトにはWordPress簡単移行などを使います。
必要な準備を整え、動作確認後にDNSを切り替えれば停止リスクは減らせます。ただし、SSLやDNS設定に問題がある場合など、一時的にアクセスできなくなる可能性はあります。
メールアカウントや過去の受信メールはWordPressのデータとは別です。利用しているメールサービスとDNSレコードを確認し、必要に応じて移行作業を行います。
エックスサーバー公式の簡単移行では対象外です。WordPress.comのサイトはプランやエクスポート方法を確認し、手動移行など別方式を検討してください。
サーバーを変更するだけで検索順位が上がる保証はありません。URL・リダイレクト・内部リンク・インデックス設定を維持し、表示と計測が正常か確認することが重要です。
テーマファイルやデータベース内の設定は主な移行対象です。ただし、ライセンス・独自CSS・広告リンク・表示速度・WAFなどは、移転先であらためて確認してください。
おすすめしません。DNSの反映、メール送受信、問い合わせ、記事URLなどを確認し、必要なデータのバックアップを確保してから解約してください。
更新の少ない時間帯を選び、データとメール環境を事前準備し、hostsで動作を確かめてからDNSを変更します。注文・会員登録があるサイトでは差分データへの対策も必要です。
WordPress移行は「先に確認・後で切替」が基本
エックスサーバーへのWordPress移行は、標準的なサイトであれば「WordPress簡単移行」から検討できます。ただし、バックアップ・メール・DNS・独自設定の確認は、移転作業の前に済ませておくのが大切です。
まず10項目を確認し、移行できない構成を見落とさない。
サイトデータのコピー後に、旧サーバーを残したまま新サーバーを検証する。
SSLとメール環境を揃えてからDNSを切り替える。
記事・フォーム・広告・計測まで動作を確認してから旧契約を終了する。
移転は「データを移せたら終わり」ではありません。公開後の運用まで確認して、安心して記事更新を続けられる環境に整えましょう。